檸檬栽培日記

オタク/腐女子/セクマイ/精神障害者/田舎在住の人間が好き勝手語ります。

推しが逮捕された話

センセーショナルなタイトルを付けてしまったが、実際には「推し」よりも少し優先度の低い「準推し」くらいの存在である。

経緯や今思っていることなどを全部書き連ねるので、少々読みづらく長い文章になるかと思う。

 

 

先週、doaファンを中心とするBeingファンの間で、ひとつのニュースが話題となった。

Being系列の会社のスタジオミュージシャンとして所属し、ギタリストやアレンジャーとして活動していた鶴澤夢人の逮捕である。

詳しくはいくつかのネットニュースにも掲載されているが、容疑は傷害罪、我が子への虐待の疑いだった。

今年の1月に発覚し、今のタイミングで逮捕されたとなるとそれなりに裏取りもしているのだろうが、本人が否認しているということで事件そのものに関するコメントは差し控える。

まあ、疑われても仕方のない状況を作ってしまった以上、彼に問題や責任があったことは否めないと思う。

 

夢人の詳しいプロフィールや経歴については、様々なまとめサイトが杜撰にまとめてくれているので、そちらを参考してもいい。

2011年にZARDの追悼ライヴにバンドメンバーとして参加し、最近では倉木麻衣の「YESTERDAY LOVE」の編曲者として名を連ねている。

そしてそれらのまとめサイトには一切記述されていないが、近年はdoa植田真梨恵のサポートギタリストとしてdoaファン、真梨恵ちゃんファンからも親しまれていた。

doaの現場ではメンバー最年少である吉本氏より10才も若いフレッシュさゆえ、メンバーと同年代のファンのお姉さまたちからは子の成長を見守る親のような感覚で見守られていた。

また、天然で口下手な性格をMCでいじられるなど、愛されキャラでもあった。

ギターの腕もめちゃくちゃ上手いというわけではないが、サポートミュージシャンとしての腕は確かで、自身のバンドやソロでは作編曲を手掛けたり、前述の麻衣ちゃんの他にもLa PomPon大野愛果さんなどの楽曲の編曲を手掛けたりしており、今後の成長を期待されていた若手の一人だったと思う。

私も彼のギターや楽曲、キャラクターなどに魅力を感じ、「準推し」くらいの感覚で見守っていたミュージシャンだった。

 

さて、夢人がdoaのサポートに入ったきっかけは、2011年のZARDの追悼ライヴで徳永氏、大田氏と共演した時に遡る。

その後、まず2012年に大田氏のソロライヴのバンドメンバーとなり、昨年まで5年間参加していた。

doa本体でのサポートは、翌2013年のRIDE ONツアーが最初となる。

当時の公式ブログによれば、大田氏のサポートとしてギターを弾きたいと夢人自ら申し出たらしい。

そんな経緯もあってか、大田氏は自分より20才以上も年下の20歳そこそこの彼をまるで親のように見守り、可愛がっていたように見えた。

それはおそらく徳永氏も同じで、ミュージシャンとして様々な経験を積ませて成長に期待していたのではないかな、と思う。

doaというバンドは比較的若手のギタリストをサポートメンバーとして起用する傾向があるので、少なからずそういう意図はあっただろう。

 

風向きが変わり始めたのは、今年の初夏だった。

突如、真梨恵ちゃんのバンドメンバーのうち、ギタリストだけが変更になったのだ。

1月~2月に行われた全国ツアーには帯同していたのにだ。

最初は、スケジュールの都合で今回だけの変更かな、と思った。

しかしそれ以降も、真梨恵ちゃんのライヴに夢人の姿はなかった。

そんな中、発表された7月~8月の大田氏のソロライヴツアー日程。

例年なら日程発表と同時にバンドメンバーも紹介されるのだが、今年は少しタイムラグがあった。

更にツアーの告知のビジュアルは昨年のライヴの写真だったのだが、何故か夢人の姿だけ切り取られていた。

さすがに私も、これは何かあったな、と察し始める。

無駄にBeingファン歴が長く、またサポートメンバーを追いかけその動向に一喜一憂していたので(徳永氏も元々はB'zなどのサポートメンバーであった)、おそらく思い過ごしではないのだろうという確信もあった。

よくて体調不良など個人的な事情での一時的な休業、ありがちなのは事務所との契約終了による離脱、悪くても何らかの事情での引退かなと思っていたのだが。

 

そして8月2日の夕方、そのニュースが報道された。

奇しくもその日は5年間バンドメンバーを務めた大田氏のソロライヴツアーの千秋楽、そして毎年ライヴで祝い続けていた大田氏の50歳のバースデーであった。

思えばその日、「諸事情により」という理由で、グッズの事前物販が中止となった。

グッズと同時にdoaやバンドメンバーのCD等も販売される予定だったので、その扱いをどうするか協議していたのかな、と今となっては思う。

例えばZARDの名曲をリアレンジしたd-projectのCDには徳永氏などと共に夢人も編曲者として名を連ねているし、doaのBEST盤の初回版には彼も出演している「Amazing Days」のMVが収録されている。

また、doa初のライヴDVDとして今年リリースされたDVDは昨年末のライヴのもので、夢人もサポートメンバーとして参加していた。

会場後は結局普通に販売されていたし、今も店頭回収や絶版などにはなっていないので、編曲やサポートメンバーとしての映像出演はセーフ、ということだろうか。

Beingでは以前上原あずみ嬢に詐欺容疑がかかり契約解除された際、彼女の楽曲が収録されているCDほぼ全てが絶版になるという前例がある。

彼女の場合、作詞や歌唱で印税が発生するので、ということなのだろうが。

 

とにもかくにも、報道を一通り見て、色々な疑問が一本の線に繋がったのは確かだ。

妻子がいるという情報は初めて知ったが、基本的にプライベートを公表しないBeingの姿勢に慣れ切っている私はまあそういうこともあるだろうなとそれほど驚かなかった。

そういえば昨年引っ越しをしたという話もしていたが、子どもが生まれるのに合わせてということだったのかな、と勝手に思ったりもした。

 

春先から全く姿を見せないなど思い当たる節があったので、最初はひどく冷静に受け止めた。

しかし、doaのメンバーや真梨恵ちゃん、その他のミュージシャンたちにとっての精神的ダメージはどれほどだっただろうと思うと心が苦しくなった。

特に、タイミングがタイミングだけに、大田氏のことが心配だった。

 

そして徐々に私はdoaの楽曲を無邪気に聴くことができなくなる。

大田氏のソロも含めて約5年のサポートメンバーというのは思った以上に長い時間で、気付けば大半の曲が夢人が参加したライヴの思い出と直結していた。

その時、私は自分が思ったより大きな精神的ショックを受けていたことに気付いた。

それは彼がファンに内緒で結婚し、子どもを作っていたことに対してではない。

今後の現場から彼の姿が消えることに対してでもない。

彼が犯罪を犯してしまった(まだ容疑ではあるが)という事実に対してだ。

そして、そのことによってファン、ミュージシャン仲間、会社など多方面を裏切ることになったことに対してでもある。

私生活や人間性は作品には関係ないと比較的割り切っていた私だが、事件を起こしてしまう前に周りの人間への迷惑などは考えなかったのだろうか……と思わずにはいられなかった。

くどいようだが、まだ容疑なので何とも言えない部分ではあるが。

そんなこんなで私はこの一週間近くで、自分でも思った以上に心をすり減らしてしまっていた。

 

そんな状況で参加したのが、ゲームアプリSHOW BY ROCKに曲を提供しキャラクターのモデルにもなっているミュージシャンたちが出演する、3969 SUMMER FESの大坂公演だ。

このフェスには植田真梨恵ちゃんも参加しており、例年なら夢人の姿もステージ上にあるはずだった。

しかし、今年ステージに立ったのは、初夏から真梨恵ちゃんのサポートメンバーとして参加している北田慧くん。

慧くんは徳永氏のソロライヴツアーのバンドメンバーとしてdoaファンにはお馴染みであり、昨年末のdoaのライヴで晴れてdoa本体のライヴにも参加することとなった。

ちなみに昨年末のライヴでは夢人と慧くんの二人がサポートギタリストとして参加していた。

それ以前から、二人には共演の機会が何度もあった。

そういうことを考えると、慧くんにとっても複雑なポジションだったのではないだろうか。

ちなみに私は慧くんのギターソロ作品やバンドの作品も聴いているが、ポップさとロックが絶妙に融合した曲を作り、テクニカルなギターフレーズを平気な顔をして弾いている。

また、徳永氏のソロライヴで大先輩のギタリストがゲストに来た際も全く物怖じせず楽しそうにセッションする姿が印象的だった。

言ってみれば、慧くんも私の中では「準推し」のポジションだった。

 

一抹の不安を抱いて始まった3969のステージ。

私は運よく下手側3列目辺りで見ることができた。

そしてトリとして登場した真梨恵ちゃんとバンドメンバー。

予想通り、私は慧くんを目の前で見ることができた。

演奏されたのはゲームアプリに実装されている曲ばかりで、大半は昨年の3969でも披露されたものだ。

最初は、どうしても夢人の姿がちらついてしまうかな、と思っていた。

けれど予想に反して、慧くんの存在感は強烈だった。

ニコニコしながらギターを演奏し、時にコーラスもこなし、コーラスがない部分でも口ずさむ。

徳永氏のソロライヴやdoaのステージでも見た、楽しそうな慧くんの姿だった。

慧くんを見ている間、夢人のことを思い出すことは一度もなかった。

 

正直私は、慧くんの存在に救われたと思う。

これが全く知らないギタリストだったら、やっぱり引きずってたかな、という気がする。

 

ライヴ後、doaの曲を以前通り無邪気に聴ける自分がいた。

夢人の記憶は消せないし、消す必要もないと思う。

事件のことを思い出して複雑な気持ちになることはあるとしても、だ。

昨年末のライヴには慧くんも参加していた。

つまり、慧くんの存在にフォーカスして、ポジティブなイメージだけを持って聴けばいいような気がした。

 

今後のdoaのサポートメンバーはどうなるのか、などまだ気がかりな部分はある。

夢人が編曲した曲や、サポートで参加した映像作品の扱いも、今後変わるかもしれない。

doaなどの公式SNSにも名前や写真は残っているし、FC会報にも掲載されている。

事件の続報が報道されることはないかもしれない。

本当に彼が犯罪を犯したのかどうか、永久に闇の中ということになるかもしれない。

 

今回の件で私が得た教訓は、何もない。

どんなに好きでも、信じていても、犯罪の抑止力になれるわけではない。

それでも私は推しを信じて、推し続けることしかできないんだろうなあと思う。