ファンシアに見るジェンダー
11月末を持って、ファンタジーシアター(以下、ファンシア)というゲームアプリがサービスを終了することになった。
ハローキティやマイメロディといったサンリオのキャラクターが登場するパズルゲームで、ゲームのルールなど細かい部分は違うが簡単に言えばサンリオ版ツムツムのようなものである。
サービス終了の理由や経緯は分からないので、ここでは言及しない。
今回話題としたいのは、ゲーム内で「キャスト」と呼ばれるキャラクターのひとつ、きりみちゃんのことである。
きりみちゃんとは、2013年に誕生した、サケの切り身をモチーフとした斬新なキャラクターである。
ヒロインではあるが、中性的で性別KIRIMIとも言える。
擬人化した際は女の子の姿であるにもかかわらず担当声優は男性で、いわゆる「男の娘」ではないかとも思われていたが……公式の性別は「中性」らしい。
そもそもサケの切り身に性別などあるのかという疑問はともかくとして。
さて、この「中性」設定がネックとなってくるのが、ファンシアの特定のミッションである。
色や形、生まれ月などで限定して「赤色のキャストを使って」といったミッションが課されることがあるのだが、そこには当然性別での分類もある。
しかし、考えてみてほしい。
「女の子のキャストを使って」、「男の子のキャストを使って」、というミッションはあるけれど、「中性のキャストを使って」というミッションはないのだ。
つまり、きりみちゃんを使っていくらプレイしても、ポイントには加算されない。
何とも言えない理不尽さをおぼえてしまった。
特にきりみちゃんのスキルは他より群を抜いてパワーがあるせいもあり、ミッションクリアのためにきりみちゃんが使えないのは結構痛い。
私には性別の概念が欠落している。
だから、きりみちゃんには特別な親近感をおぼえる。
性別の壁に、負けるなきりみちゃん。
早く、男と女だけでなく、「どちらでもない」や「どちらでもある」人間にも優しい世界になるよう祈ってやまない。