檸檬栽培日記

オタク/腐女子/セクマイ/精神障害者/田舎在住の人間が好き勝手語ります。

ファンと黒歴史

先日10月9日は109(トク)の語呂合わせで、私の好きなバンドdoaの徳永氏がここ数年ソロライヴを行っている。

今年はスケジュールの関係もあり、今月末からソロライヴツアーが始まる予定だ。

徳永氏のソロライヴではdoaの楽曲の他、自身が影響を受けた洋楽のカバー、提供曲のセルフカバー*1、また親交のあるミュージシャンや事務所の後輩などをゲストに迎え、ゲストの持ち曲やルーツとなった曲などを一緒に演奏をしたりする。

 

doaは三人がそれぞれリードボーカルを取るという特徴があり、またメインボーカルの吉本氏がプロのレーシングドライバーとしても活動しているため、三人揃ってライヴ活動が行えない時期は毎年徳永氏、大田氏の両名がそれぞれソロライヴを開催している。

 

大田氏のソロライヴはdoaの曲はもちろん、初期は大田氏の大好きなBON JOVIの曲のカバーを中心に選曲されていたが、最近はBeatlesTHE ALFEEなど洋邦問わず自身のルーツとなったミュージシャンの楽曲をカバーしている。

また、初期はライヴサポートで参加したB'zの稲葉浩志のソロ曲*2という事務所の先輩のカバーもあったが、今年のソロツアーでは久々にその稲葉氏の曲、またZARDWANDSといった自身がコーラスでレコーディングに参加したミュージシャンの曲もカバーしていた。*3

更に去年からは、かつて大田氏が在籍していたバンドであるBAADの「君が好きだと叫びたい」をレパートリーに入れている。

 

さて、この大田氏の過去のバンド遍歴に関する情報だが、実はつい最近まで公式サイトにははっきりとした記載がなかった*4

「過去にいくつかのバンドを経て」、とぼかされたような表現になっていたのだ。

確かにライヴサポートやコーラスレコーディングで参加したB'zやZARDといったミュージシャンに比べるとBAADの知名度は低いだろうが、「君が好きだと叫びたい」という曲のみに関して言えば現在30代前後の者にとっては懐かしいアニソンの一曲ではないだろうか。

言及しないのは、少し不自然な気がする。

とはいえ、新たなバンドで再デビューした際に過去のバンドに言及しない例は、少なくともこの事務所*5では珍しくない。

 

むしろ不自然なのは、徳永氏のプロフィールの方と言えなくもない。

長年の裏方を経てdoaでデビューしたことになっているが、実際にはデビュー経験がないわけでもないのだ。

95年にデビューしたPAMELAHにはTV出演時やPV等でパフォーマンスを行うのみとはいえ、メンバーとしてクレジットされていた。

96年にデビューしたTRADE LOVEZARDと同じようなソロユニットという扱いではあるが、楽曲提供等で参加していた。

また、02年にデビューした三枝夕夏 IN db三枝夕夏嬢のソロプロジェクトとしてデビューしたが、元々は「db」としてデビューする予定であり、そのメンバーに名を連ねていた。

上記の3組は裏方での参加ということで、経歴から除くのも100歩譲ってまあ分かるとしよう。

しかし98年にデビューしたXLというユニットでは、実質リーダーのような立ち位置の正式メンバーである。

実際、B'zのサポートメンバーとして活動し知名度を上げた時期とも重なるため、XL時代の徳永氏が好きというファンも存在する。

だが、徳永氏本人も過去のバンド歴はなかったものにしているような感じが、言葉の端々などから感じられる。

 

黒歴史、というものはミュージシャンに限らず様々な芸能人に存在する。

子供向けの特撮番組に出ていたことが黒歴史という俳優、アイドル時代を黒歴史にしている実力派女優、バラドル時代が黒歴史の本格派ミュージシャンなど、数え上げればきりがない。

 

しかし、たまに私は思うのだ。

 

確かに本人からしたら、なかったことにしたい黒歴史かもしれない。

けれど、その時期からファンだった者、応援していた者にとっては、その時代をなかったことにされるのはとても複雑な気分ではないだろうか。

少なくとも私はそうだ。

 

黒歴史時代に抱いた「好き」という気持ちは、どこへ持って行けばいいのだろう。

*1:ZARDの「永遠」、倉木麻衣の「Stand Up」等

*2:「ファミレス午前3時」、「I AM YOUR BABY」等

*3:「TODAY IS ANOTHER DAY」と「世界が終るまでは…

*4:私が確認した限り、昨年12月のリニューアル時に追加されたと思われる

*5:ビーイング