作品に罪はない、は本当か
ゲスの極み乙女。の川谷が活動の自粛を発表した。
今更感が否めないのも事実だが、法に触れる行為は今回が初めてである。*1
未成年飲酒に同席、とのことだが、店側は年齢確認をしなかったのだろうか?
それはともかく、未成年飲酒をしたとされるほのかりんが、仮面ライダーフォーゼの魚座の蘭ちゃんだと知ってそこはかとなくショックを受けた。
芯の強いしっかり者のキャラ同様の性格だと信じている節があったからだ。
ただし、このことで私の中でピスケス・ゾディアーツ黒木蘭のイメージが悪くなることはない。
基本的に、キャラクターと役者は別物だと切り離して考えているためだ。
芸能界全体を見渡して今年法を犯した者を探せば、薬物で逮捕された清原和博と高知東生が思い付く。
清原はスポーツ選手なのでともかく、高知は役者であった。
高知の出演していたドラマを私も好きで見ていたし、特に昼ドラ「潔子爛漫」は未だに録画を見返すほど大好きな作品だ。
しかし高知の逮捕によって、DVD化*2も再放送も可能性がなくなった*3ことになり、さすがにがっくりきた。
高知の出番は前半のみとはいえ、後の主人公に大きな影響を与える存在だ。
カットしてDVD化や再放送というのも難しいだろう。
過去にも酒井法子をはじめ、薬物などで逮捕された役者が出演していたドラマが再放送できなくなる出来事はあった。
DVDが発禁になる、映画がお蔵入りになる、などもあった。
某人気ミュージカル出演俳優が強姦致傷容疑で逮捕され、関連DVDが全て発禁、自主回収となったため、オークションでとんでもない額で取引されていたりもする。
さて、今回のゲス川谷はミュージシャンである。
ゲス不倫発覚後、出演番組・CMが全て降板に追い込まれたベッキーとは対照的に、ライヴ活動、CDリリースなど、順調に活動を続けていた。
この辺り、イメージを売るタレントと作品を売るミュージシャンの違いだなと思った。
ベッキーは今後、清純派から酸いも甘いも嚙み分けた西川史子のようなキャラ*4を目指すしかないような気もする。
そういえば、同じようにゲス不倫発覚でイメージダウンしたファンキー加藤がいる。
彼の場合、応援ソング、青春ソングといった「清い」イメージで売っていた部分があるので、もしかしたらファン離れが起きているのではないだろうか。
対して、ゲス極には特にこれといったイメージがない。
だからこそ、ファン離れが起きず、今まで通りの活動が続けられていたのではないかと思う。
これが「作品を売る」ミュージシャンの強みかもしれない。*5
近年、法に触れて活動自粛に追い込まれたミュージシャンといえば、前述の酒井法子、同じく薬物使用のASKA、詐欺容疑で逮捕された小室哲哉などだろうか。
特に小室の楽曲はTMNなど様々耳にし、馴染み深いものだっただけにショックだった。
小室が逮捕された当時、私は考えた。
果たして、「作品に罪はあるのか?」と。
ASKA逮捕に伴う作品の自主回収もそうだ。
もちろん、犯罪者に印税収入が発生することへの対策もあるだろう。
しかし、別に楽曲を通じて犯罪を助長するような主張をしていたわけでもないのに、規制する必要はあるのだろうか。
過去、私が好きでCDを購入し、ライヴにも何度か足を運んだシンガーがいた。
それほど歌が上手いわけではないが、強烈な印象を放つ歌詞の世界観、そしてステージに立つ姿に不思議と惹かれていた。
しかしそのシンガーは、犯罪に関与したとの疑いで事務所を解雇され、表舞台から姿を消した。
私はショックで、一時期はそのシンガーの曲を聴くことすらできなかった。
できなかったというか、曲を聴くことに罪悪感のようなものを抱いた。
けれど、過去のライヴレポートやCDレヴューを見返していて、ふと気付いた。
確かにそのシンガーは罪を犯したかもしれない。
それでもこの歌詞を書き、歌を紡いでいた時の想いに嘘はなかったのではないか、と。
もしも歌手として復活することがあっても、以前と同じようには応援できないだろう。
ただ、過去まで否定する必要はないような気がする。
ゲス川谷も自分を偽らず真摯に音楽と向き合っていたかどうかは、ファンではない私には分からない。
でももし、彼の過去の楽曲を今でも好きだと感じたり、過去のライヴで感動したりしたことを後悔する人がいるなら、そこまで否定すべきことではないのかな、と思う。