不都合なホルモン
私には性別の概念が欠落しているが、身体的には女性だ。
当たり前だが乳房があるし、毎月生理も来る。
しかし、私はいわゆる「巨乳」の部類である。
巨乳の悩みやデメリットに関しては、色々な人が嘆いているので私はあえて言及するのは避ける。
この辺りの記事を参考にしてみてほしい。
私には性別の概念が欠落しているため、大きな胸などいらない、切除してしまいたい、と思うことが多い。
特に男性っぽい服装をしようとしても、ワイシャツやジャケットの胸の部分がきつくボタンが締まらない、サスペンダーが似合わない、などは毎回辟易する。
もう一点、私は生理が非常に重い。
PMSがそれほどひどいわけでも、失神するほどきついわけでもないが、体質的に血小板が少ないために毎回貧血になりそうなほどの出血がある。
腹痛や頭痛もそれなりだ。
なので、子宮や卵巣も取ってしまいたいと思ったことも何度もある。
しかし、乳房や子宮や卵巣を摘出したら、一生女性ホルモンを投与し続けないとならないという煩わしさを知り、断念した。
女性ホルモンは私が今も悩まされ続けている、自律神経にも関わるものであるからだ。
逆に私は母親譲りでとても毛深い。
脛毛だけでなく、腕にも黒々とした毛が生えている。
スカートを履く時はムダ毛処理が必要だ。
こちらは女性としてのファッションを楽しむ時に、ネックとなるものだ。
永久脱毛も考えてはみたが、金銭面を思うとやはり簡単に手を出せるものでもない。
胸が大きくなく、毛深くもない、中性的な特徴を持った身体に生まれたかったと、女性ホルモンと男性ホルモンの両方を恨むばかりである。
1ヶ月半ぶりに職場に行った結果
心身の調子が悪くなってついに外に出られなくなった結果、私は9月の半ば辺りから職場に長期休暇をいただいていた。
最初は2週間程度のつもりだったのだが、体調が全く回復せず、ずるずると1ヶ月半も経ってしまった。
食欲が全くなく、この1ヶ月半で体重は5kg落ちていた。
外出もほとんどできず、短時間でも歩くと疲れるようになっていた。
今日も本来は、今後について、あとどれくらい休暇が必要か、職場復帰の目途はどれくらいか、というようなことを話し合う予定だった。
しかし、予定の時間の2時間ほど前に経営者から電話があった。
「今日、3時間くらい仕事に出られない?」
は?
……って、思いますよね。
よくよく聞くと、バイトの子が二人も風邪でダウンしたとのこと。
短時間でもいいから手伝ってくれる人手を探していたところ、私がちょうど職場に行く約束をしていたのでそのまま仕事に出てほしい、ということだった。
超零細企業なので、二人も欠員が出てしまうと職場は回らなくなってしまう。
他のスタッフへのしわ寄せも私は痛いほど分かっていたので、とりあえず了承することにした。
経営者は、今日はあまり忙しくないと言っていたが、実際は結構忙しく、3時間経つころには疲労困憊だった。
最終的には、帰宅直前に貧血を起こしてしまい、数分間蹲って動けなくなった。
……でしょうね。
体調が万全じゃないのに無理して復帰を焦るものではない。
とはいえ、結局経営者に押し切られる形で今後は週1からシフトを入れられ徐々に復帰するように予定されたのだった。
公式が「BL要素」と明言するマズさ
「原作はいろんな愛にあふれている。師弟愛、家族愛、男女の愛、そしてボーイズラブ。いろんなラブストーリーが詰まっているので、1年間、日本のみなさんに、西郷どんに惚れてもらって元気になってもらいたい」
再来年の大河に関するこの報道に、ネット上の大河ファン、腐女子、セクシャルマイノリティたちがざわついた。
私は大河ドラマを熱心に見ていた時期もあるし、腐女子でもあるのでそういう視点で妄想したこともあるし、セクシャルマイノリティの立場でもある。
それぞれの立場から、この発言のまずさを論じてみたい。
大河ファンとして
そんなものは求めていない
これに尽きる。
大河ドラマというからには、史実をベースに重厚なドラマが見たいのだ。
最近は安っぽいラブコメのような人間ドラマにばかり時間を割き、合戦シーンが一瞬で終わる、もしくはナレーションのみ、ということも珍しくない。
大河ファンの求めるものと製作者が描きたいもののズレが徐々に大きくなっている気がする。
当時「ボーイズラブ」という言葉はなかった
師弟愛、家族の愛、男女の愛、というのならばそこで「ボーイズラブ」ではなく「同性愛」や「男色」、「衆道」という言葉を使うべきではないだろうか。
この表現に関しては、セクシャルマイノリティとしての立場からも非常にもやっとするので、詳しくは後述する。
腐女子として
公式に前面に押し出されると冷める
腐女子は「行間」を読むことが非常に得意だし好きだ。
画面で描かれていない「間」のシーンで、実はこういうことがあったのではないか、ああいう会話があったのではないか、そういうことを妄想する。
前のシーンでは素っ気ない関係だった二人が、次のシーンでは少し親密になっている。
それくらいの匂わされる程度の変化で、色々と妄想する人種なのだ。
もちろん、あからさまなBL描写に喜ぶ人たちもいる。
しかしそれは比較的ライトな腐女子ではないだろうか。
長年こじらせたヘビーな腐女子であればあるほど、あからさまな描写は嫌悪する。
公式に「BL描写入れます」とか言われると、「こういうのが好きなんでしょ? さあ興奮して! 妄想して!」と上から目線で言われているような気分になる。
腐女子という存在が軽く扱われているような気しかしない。
セクシャルマイノリティとして
「同性愛」を「BL」と言い換えるな
私は「BL要素あり」という報道には、「あー、また、『同性愛』をポルノ用語扱いして、『BL』に言い換えてるのかー。いいかげんにしてくれ」と思いました。当時の薩摩隼人は、衆道、普通だからなっ!#eiga https://t.co/I2PV4bzPKZ @eigacomさんから
— 森奈津子 (@MORI_Natsuko) 2016年11月2日
根本的に、衆道とBLは似て非なるものであると思う
— 片山愁 (@shu_kata) 2016年11月2日
呟いている方々がセクシャルマイノリティかどうかは確認していないが、要はこういうことだ。
テレビ的に「ゲイ」を「オネエ」と言い換えるのと同じあれである。
「同性愛」や「ゲイ」という言葉が言葉狩りのように言い換えられる国に、LGBT差別を本気でなくす気はあるのだろうか。
そして、「同性愛」と「ボーイズラブ」は明確に別物である。
「同性愛」は現実のもの、創作のもの、全てを包括する物であるが、「ボーイズラブ」は腐女子に消費される創作物のことしか指さない。
「BLはファンタジー」という有名な言葉もあるが、それくらいボーイズラブは現実世界から切り離されたものなのだ。
結論
来年の大河ドラマが始まる前にもうプチ炎上してしまった再来年の大河ドラマ。
大河ドラマファン、腐女子、セクシャルマイノリティにそっぽを向かれて勝機はあるのか。
それとも、あの発言に関する謝罪なり弁明なりが行われるのだろうか。
障害者雇用外で働く
今回はこちらの記事を受けて、障害者雇用ではなく健常者と同じ条件で働いている精神障害者としての立場を書きたいと思う。
まず働き始めた時の私のスペックとしては、双極性障害、障害者手帳2級、障害年金受給、大学自主退学で最終学歴は高卒、29歳独身、結婚妊娠の予定なし。
田舎なので高卒はザラだし、結婚妊娠の予定なしは長期で働く上では強みだ。
雇用されるまで
1.登録~先方からの連絡
職場は求人サイトで探した。
最初から働きたい業種も、具体的な職場の希望もあったので、求人サイトで求人しているのを確認してそこから登録した。
田舎の個人経営の企業である。
障害者雇用枠などないので、端から健常者として雇用されるつもりで申し込んだ。
翌日、担当者から連絡があった。
次の日に面接に来てほしいとのことだった。
持参する物は簡単な履歴書のみ、服装の指定はなかった。
2.履歴書と服装
履歴書には、ある程度本当のことを書いた。
というか、嘘は一言も書いていない。
大学の退学理由も「一身上の理由」で、空白期間も持病の療養期間ということにした。
私は就活を体験したことがないため、リクルートスーツを持っていない。
大学の入学式で着用したスーツのみであるが、少々古くサイズも合わない。
だからといって、さすがにニート丸出しのファッションセンスのかけらもない服装もアウトだろう。
結局、働きたい職場の雰囲気も考え、少々お洒落でふんわりしたいわゆる森ガールファッションをもう少し大人っぽくしたような服装で行くことにした。
3.面接
面接は電話で対応した担当の者とマンツーマンだった。
その際、担当の者が実は経営者本人だと初めて知った。
その職場は慢性的な人手不足だったようで、面接は形式的なものだということはすぐに分かった。
何度かバイトの面接を受けたこともあるが、この職場は動機や意気込みといったものよりも、雇用された後の条件面に関する話に多くの時間を割いた。
こちらが出した条件としては、
くらいである。
また、持病があるので疲れやすかったり体調を崩したりすることがあるかもしれない、と最初から予防線を張っておいた。
4.雇用決定
結果的に私は面接に合格ということで、登録した日から数えると約2週間で働き始めた。
雇用形態はパートタイマーである。
その職場では正社員と学生バイト以外は全てパートという扱いだった。
働き始めて
体調面
その当時はある程度精神的には落ち着いていたが、やはり朝起きられないことや、家からなかなか出られないことがあった。
何度か遅刻を繰り返してしまい、社会人として、ギリギリの出勤や遅刻はよろしくない、と早速厳しく叱られた。
肉体的にもなかなか厳しい職種で、ずっとほぼ寝たきりだった私の肘や膝など身体のあちこちが悲鳴を上げた。
しかし、数ヶ月が過ぎる頃には長時間立ちっぱなしだったりずっと歩き回ることが、苦ではなくなるくらいに脚力が付いていた。
困ったこと
社会人経験が短期バイトくらいしかないため、最初は挨拶のタイミングやなんと声をかけていいかもよく分からず、何度か注意された。
人見知りではないが、初めての場所で知らないスタッフと共に働くことに対する緊張もあったと思う。
緊張から、最初の頃は作業自体に落ち着きがないということもあった。
また、他人と会話をすることがほとんどない生活を続けていたため、他のスタッフの指示に対して返事をする時など、思わずどもってしまったり、咄嗟になんと返せばいいか分からず言葉が出ないことがあった。
独り言も多かった気がする。
障害者雇用外で働くメリット・デメリット
このような経緯で、私は今の職場でパートとして働いて数年が経った。
前出の記事に書かれている障害者雇用で働くメリット・デメリットと比較しながら、私の体験上のメリット・デメリットを考えてみたい。
障害者雇用のメリット
休みや早退に寛容
私の職場はシフト制なので、ある程度は寛容である。
病院の予約が入った日はシフトをずらすなどしてもらえる。
しかし急な休みは人手不足に繋がるため、当日急に休むことは極力避けなければならない。
繁忙期に関しては、基本的に休みなどの希望は通らない。
責任感のある仕事はやらされない
新人の教育や納品の領収書へのサインはパートやバイトでも任されるが、具体的な商品案や改善案などは出すことができない。
責任感のある仕事は、基本的に正社員だけである。
多少のミスは許される
許される場合もあるが、ミスの大小にもよる。
また、相手のある職種であるので、いくら小さなミスでも相手方が気分を害したり怒ってしまったりした場合は、上司に厳しく叱られることになる。
人事部の人が気にかけてくれる
人事部がないので割愛。
面接のとき職歴の空白は「治療に専念していました」で通じる
私には精神障害の他にも持病があるため、この言い訳を利用することができた。
この辺りは雇用主によると思う。
障害者雇用のデメリット
賃金が安い
私の職場は業界として賃金が安いので、障害者雇用云々は関係なく安い。
最初は最低賃金ギリギリだった。
雇用形態が安定していない(ほとんどが契約社員)
私もパートという形で働いているが、正社員が何人か退職した時他のスタッフから「正社員になれば」と勧められたこともある。
実際、シフト制ではあるが実質的な労働日数はほぼ正社員と同じくらいという時期もあった。
しかし結局、体力も精神の不安定さも正社員の激務に耐えられるとは思えないので、賃金は安いがこのままでいいと思っている。
昇給がないところが多い
雇用されて1年経った頃、昇給した。
時給20円アップである。
それ以降は体調を崩し休職した時期もあるため、ずっと現状維持のままだ。
人並みに働けていないことに劣等感が湧く
これは逆に言うと、障害者雇用外で働く上での一番のメリットかもしれない。
実力重視なので、健康な他のパートと分け隔てなく仕事を任せられる。
ひとつ仕事を覚えれば、また次の仕事を教えられる、という感じだ。
職場で頼りにされている、社会の役に立っている、と実感できる部分である。
やりがいがない
これも職場によるのではないかと思う。
現代の日本社会で、やりがいを感じられない職場など山ほどあると言っても過言ではない。
私の場合は、最初は働いた対価を得られることでやりがいを感じていた。
しかし、次第に自分の仕事に対して受け手の反応を見ることができないため、モチベーションが上がらなくなってしまった。
元々、黙々と一つの単純な作業を繰り返すような仕事に向いていないのだ。
結論
雇用主や職種によるのではないだろうか。
障害者雇用で働くことのメリット・デメリットがそのまま障害者雇用外で働くことのデメリット・メリットになるわけではないと思う。
私の場合は精神的な不調にもある程度理解のある経営者に恵まれたため、自律神経の乱れと軽いうつ症状、ということで二度ほど長期休暇をいただいている。
体調が優れず、当日休んだり遅刻したりすることにも、繁忙期を除けば寛容だ。
もっとも、症状が悪化したのは職場のストレスが原因のひとつでもあるのだが。
今の時代、転職も恥ではないと思う。
障害者雇用を利用したり利用しなかったり、色々試してみて、自分に合った働き方や職場を見付けることが大事なのかもしれない。
BLにおける受け攻めとジェンダー
私はヲタクで、腐女子でもある。
腐女子というのはBL、つまりボーイズラブと呼ばれる男性同士の恋愛を好む女性の総称だ。
ついでに言えばGL(ガールズラブ)と呼ばれる女性同士の恋愛も好きだし、NL(ノーマルラブ、ノンケラブ)と呼ばれる男女の恋愛も好きだが、中でもBLが一番好きでよく読むし自分でも書いたりする。
さて、そんなBLの世界には、GLやNLの世界にはあまりない「受け」と「攻め」という概念が存在する。
簡単に言えば性行為の際、挿入されるのが「受け」で、挿入するのが「攻め」だ。
ゲイ用語でいうところのネコとタチと大体同じ意味である。
GLの場合は挿入を伴わない場合が多いので基本的に受け攻めの概念はないし、NLだと男が攻めで女が受けであることが大半なのでそこを気にすることもないかと思う。
しかし、BLにおける受け攻め問題というのは、戦争が起きるくらいの問題なのだ。
特に受け攻め固定カプ過激派*1と、リバ派*2や雑食派*3の間には、深くて広い川が横たわっているといっていい。
そんな受け攻め議論にもキリがないが、私は時折、BLを読んでいて、受けに女性的なものを、攻めに男性的なものを求めていることに違和感を覚えることがある。
現実にゲイの知人がいるわけではないので、ここではBLをファンタジーとして論じさせてほしい。
何故、性別というものを超越した同性愛の関係に、ジェンダーを押し付けてしまうのだろう。
もちろん、受けと攻めというのはどちらが突っ込んでる方が萌えるとか、どちらが突っ込まれて喘いでるのが萌えるとか、そういう好みがあるのは分かる。
けれど、それ以外の場面で攻めに男性の役割を、受けに女性の役割を求める必要はないのではないだろうか。
具体的には、以下のような場面だ。
- 攻めが大柄で力持ち、受けが小柄で非力
- 攻めがかっこいい系の顔立ち、受けが可愛い女性的な顔立ち
- 攻めの方が社会的地位が上
- 同棲をしている場合、受けが家事を担当する
- 女装をするのは受け
- 攻めが年上、受けが年下
- 攻めは手先が不器用、受けは料理が得意
等等等……。
このような設定を付けるなら、もはや男性同士である必要はないのではないだろうか。
男女でもいいのではないか。
そう、思ってしまう。
ちなみに私は天邪鬼だからか、年下攻め、背の高い方が受け、攻めの女装、などといった設定が大好物だったりする。
もちろん、この辺は個々の好みもあると思う。
受けが料理が下手でもいいじゃない。
攻めがフリーター、受けが社長とかでもいいじゃない。
可愛い趣味があるのが攻めでもいいじゃない。
そして、個人的に一番もやっとするのがこれだ。
「俺(攻め)がお前(受け)を幸せにする」
お前ら男同士だろうが。
何で平等じゃないんだよ。
個人的にはこれ、男女のプロポーズなどでも最高にもやもやするフレーズだったりする。
男が女を養うことが前提になっているように聞こえるのだが、女の方が稼ぎが良かったり社会的地位があったりパーフェクトウーマンだったりしないのだろうか。
しかし世の女性たちにとっては、この一言が男性の甲斐性を表しているようで、この一言がなければプロポーズに納得できないらしい。
女性ってそんなに受け身一報なんですか?
私がもしプロポーズすることがあるなら、されることがあるなら、この言葉を使いたいと思う。
「二人で一緒に、幸せになろう」